毎日自己満足

読んだ本や見た映画等の感想、日々個人的に考えた事なんかを書いていきます

小説『ニードフルシングス』

『ニードフルシングス』は映画化した事もあるスティーヴン・キングの執筆したホラー小説だ。

題名のニードフルシングスは「めっちゃ欲しいモノ」(たぶん)的な意味の店の名前。主人公達の住む町キャッスルロック(この町はしばしばキングの小説の舞台になる。スタンドバイミーとか)に、このニードフルシングスと言う中古品店がオープンする所から始まる。

この店の店主はゴーントと言う老人で、彼は町の住人達が心から求める品物を格安で提供する。だけどその代わりにゴーントは客にちょっとした「いたずら」を町の他の住人にさせる。

「いたずら」は一つ一つを見れば大した事の無い小さな事なのだが(少なくとも後に起きる大惨劇に比べれば)それらが連鎖反応してとんでもない事に成るという話。

ゴーントの提供する品物は客の欲望を強烈に刺激するモノばかり。例えばプロ野球選手のカードが欲しいブライアン少年には「偶然」【ブライアンへ】とサインの入った野球カードを売る。これは日本のコレクション趣味を持ってる人だったらコロッと騙されちゃったりしそうな気がする(笑)
アイドルや人気俳優のサイン入りの写真みたいなものかな?感覚的には。

あと職場の金を競馬につぎ込んでしまう男には競馬の勝ち馬が分かる占い盤を売るのだが、これは読んでて凄く欲しかった。

他にもエルヴィス・プレスリーの写真やギター、とても性能の良くて見栄えも良い釣り竿なんかを売りつけていく。

そしてゴーントの言うがままに「いたずら」を町人達がやり続けたり結果、少しずつ町が物騒になっていく…主人公の保安官はこれを何とかしようと奔走する。


後半は凄まじい内容だがキングの作品の中ではラストが胸糞悪くない方。ちなみにキングの作品で胸糞悪い話が読みたいなら同じキャッスルロックを舞台にした『クージョ』がオススメ。


あと個人的な見解としてこの小説をどう読むかで性格が分かる気がする。人々を唆すゴーント側から右往左往する人々を見てニヤニヤするのか、それとも翻弄される人々に感情移入してハラハラするのか…どちらにしてもとても楽しめると思う。



あとあまり関係ないが若い頃の柴咲コウ藤原竜也が出演し社会現象となった『バトルロワイヤル』の生徒達が通っていた【岩城学園】の由来はキングが度々舞台にする、このキャッスルロックの町が由来になっている。

キングは別名義で「死のロングウォーク」と言うデスゲームの元祖とも言える小説を書いていて、近年の作家のデスゲーム的な小説(ハンガーゲームやバトルロワイヤル、漫画だとBTOOOM!等)のお約束を作った名作なのでそちらも機会があったら読んで見てはどうだろうか。